フリーズドライ加工では、基本的には冷凍した食材の風味が守られます。しかし、香りの成分には大気中の酸素と反応してはじめて良い香りを放出する野菜や果物もあります。例えばイチゴの熟した香りの生成には成分の酸化が寄与しています。イチゴをフリーズドライすると、表面だけではなく深部にも酸素が届き、何倍も強い香りが発生します。どちらかというとジャムに近い香りと言えるでしょう。
さて、椎茸の場合はどうでしょうか。椎茸の香りには2種類あり、生椎茸の味や香りと、乾燥椎茸に特有の出汁に使われる香りです。何でもかんでもフリーズドライしたら良い香り(何が良い香りか不明ですが)が残るというのは間違いです。どの香りを望むのかがポイントで、その香りを追うためには適切な乾燥法があります。乾燥しても、生椎茸の香りが欲しい時はフリーズドライ一択です。出汁に使う香りが欲しい時は天日干し、または温風乾燥機での乾燥となります。乾燥椎茸の香りは乾燥して萎んでいく段階で、細胞核が分解して生成されます。従って、元気な椎茸にはその香りはありません。フリーズドライでも生椎茸をそのまま乾燥しても細胞核が破壊されないため、あの出汁風味は生成されません。
味や風味は、新鮮な食材に含まれる成分でない場合が結構あります。お肉でも新鮮なお肉は美味しくなく、腐らない程度の低温で熟成させると、細胞核が破壊し、内部の拡散が分解して旨み成分になります。(細胞内にもRNAなどの旨みの原料は存在しています)
細胞を壊して旨みが出る食材は、フリーズドライは不向きです。新鮮な風味を、乾燥しても、またそれを湯戻ししても味わいたいのであれば、フリーズドライ装置(真空凍結乾燥機)を使って乾燥する方法が最適な乾燥法となります。