真空ポンプがダメになる条件とは?

フリーズドライ装置本体は冷凍庫と同じように考えてもよい装置だと思います。冷却トラップを冷凍機で冷やす機構がメインです。真空ポンプはフリーズドライ装置本体の中を真空にしますが、これが結構負担が大きいです。真空ポンプには大まかに分けてオイル回転式真空ポンプと、オイルレスタイプの真空ポンプがあります。

フリーズドライでは試料を真空容器にいれてバキュームします。この時、凍ったままの試料からは水蒸気のみが飛んでいきます。氷の昇華で、試料は溶けることはなく、凍ったままで水分が昇華していきます。この水蒸気は主にフリーズドライ装置本体にあるコールドトラップにくっついていきます。しかしながら、一部の水蒸気はコールドトラップに補足されずに、真空ポンプの方に行きます。これが時より問題を発生させます。特にコールドトラップの温度が十分に低くないと、水蒸気が真空ポンプの方に吸い取られていきます。そもそも、どんな真空ポンプでも水気を嫌います。オイル回転式真空ポンプは内部が鋳鉄でできているため、錆びることがあります。オイル回転式真空ポンプでは、オイルが吸引した気体に触れるため、水分はこのオイルに溶け込んでいきます。オイルと水は分離するので、基本的にはエマルジョンのように、白濁してきます。これを放置するとポンプ内部にサビが発生し、真空度がなかなか下がらなくなり、ポンプは寿命を迎えます。

オイルレス真空ポンプでもその多くは鋳鉄で作られ、表面をコーティングされています。しかしながら、ルーツ式真空ポンプでも内部に水が貯まるとサビが発生し、ローターが回転しなくなり、修理費に数十万円請求されます。テフロンコーティングされていても、無電解ニッケルメッキサれていてもかんたんにサビが発生します。ほとんど、コーティングがないものと一緒です。特に野菜やフルーツなどは酸性ガスが発生するため、これが水分と一緒にポンプに入ると、あっという間にサビが発生します。ローターが1日で動かなくなり、修理費数十万円也となります。ガスバラストをいつも開けておくこと、1週間に1度は必ず空運転でも実施する事が大切です。これをやれば3年はメンテナンスフリーで行けると思います。一方、オイル回転式真空ポンプはオイルが白濁するとオイルを交換しなくてはいけません。交換は場合によって1ヶ月に1〜3回といったところでしょうか。しかし、フリーズドライを開始するときのサンプル温度が十分に冷えていないと、1回の運転でオイルが白濁してしまうこともあります。試料は真空ポンプ開始までに十分に冷えていることが極めて重要です。冷却温度が不十分であれば、サンプルが沸騰のようにアブクが出てきて、一挙に多量の水蒸気が発生し、真空ポンプを攻撃してしまいます。

くれぐれも、フリーズドライ開始時には試料が十分に冷えていること、また、コールドトラップ温度が十分に

冷えていること、ルーツ式真空ポンプはガスバラストを開けっ放しで運転することが重要です。

とは言っても、真空ポンプは基本的には消耗品と捉える装置ではあります。購入時には真空ポンプの入れ替え費用、オイル費用を考慮しておいてください。

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