フリーズドライ装置の使用者からの最も多い質問はこれ!

『途中で真空を解除し、装置の運転を止めて乾燥状態を見たのですが、また中心に氷が残って乾燥不十分でした。そのまま続いて乾燥できますか?

 殆どの利用者からこのご質問が参ります。答えは『NO』です。

乾燥が不十分だったので、更に乾燥させようと言う場合、乾燥対象品の中心に氷が残っていて、その氷を取り巻く乾燥層は0℃よりも温度が高くなっています。乾燥後期ではおそらく棚温度が0℃よりも高い温度、例えばこのとき棚温度は乾燥後期の40℃や50℃になっていると思われますが、乾燥対象品の外側もその温度で真空中に存在しています。真空中では氷がどんどん蒸発するので、気化熱を奪われて温度が下がって行きます。そこで、棚温度を上げてこの氷の低温下を防いでいます。真空を解除すると、その途端に氷は気化をやめ、周辺の暖かくなっている層からの熱ですぐに溶け始めます。

 要するに、乾燥帯商品の中心の氷は、真空解除と共に溶け始めます。溶けた氷の水分は、せっかく乾燥していた外側の層にしみていきます。ここからはどのようになるか想像がつくと思います。

 実際に、途中で凍結乾燥を止めてすぐに戻すと、そもそも棚も熱くなっていますし、氷は溶け始めていますし、これを急いで真空にして、プログラムなどをいじって、直ぐに装置を働かせたとしても、まず、一旦温まった棚はすぐには冷えません。冷却パイプが通った棚であっても、少々時間がかかります。ここで真空にするとどうなるか。そう、沸騰を始めます。イチゴの場合、溶けた水分が乾燥していた周辺に滲みて、シワっとなると共に、ぷくぷくと何やらあぶくが出てきます。そう、水分が沸騰しているのです。

 この状態での乾燥は『真空凍結乾燥』ではなく、『減圧乾燥』となります。ということで、真空凍結乾燥、すなわちフリーズドライでない乾燥となってしまいます。

 そもそも早く見たいから途中で止めた時点で、貴方はフリーズドライを中断した、ということです。それを急いで急速冷凍したとして、中心部分の氷が溶けなかったなら、続けてフリーズドライができることになります。

 実は私も途中でやめることあり。その時は、乾燥対象物を−80℃の超低温槽(ディープフリーザー)に入れて凍結したあと、改めてフリーズドライ装置に入れます。この方法でやっても中心部分の氷は溶けて、出来上がりのイチゴはしなっと、潰れてしまいます。

 ということで、途中でやめたら続きはできないのがフリーズドライです。

ご参考になりま下でしょうか?\(^o^)/

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