凍結乾燥機(フリーズドライ装置)に使用する真空ポンプを長持ちさせるには・・・
フリーズドライ装置には、比較的お手頃なオイル回転式真空ポンプが広く使われていますが、真空ポンプのオイルを交換するときに、底に溜まった水が先に出てくる場合があります。この水が真空ポンプの各箇所に入り込むと、真空ポンプは直ぐに故障してしまいます。私が通常推奨している真空ポンプ用のオイルは、水が入っても乳化しにくいタイプのものですが、オイルゲージからオイルの色を見てもあまり汚れや色の変化が観察されないため、ついついオイルが汚れてないからいいやと、そのまま継続して使ってしまいがちです。しかし、凍結乾燥を数回行うと真空ポンプ内に水が溜まってくるため、オイル交換の時に真っ先に水がドバッと出てくることがあります。真空ポンプは空気を吸い込むと、その中の水分が真空ポンプ中で凝集して水に戻り、このままでは外には排気されません。こんな水の凝集を防ぐために、真空ポンプには「ガスバラスト」が設置してあります。このガスバラストのコックまたはネジを緩めて、ここから外気を少し入れてやると、真空ポンプ中に水が溜まらず、水は水蒸気として排気されやすくなるため、真空ポンプ寿命が長くなります。
しかしながら、普通にこれを実施してしまうと、オイルの霧(オイルミスト)が真空ポンプの排気口から少しずつ出ていくため、ポンプ内のオイルの量が減っていきます。真空ポンプのオイルゲージは必ず運転前に確認する習慣をつけてください。
ただ、オイルが減る量を少なくしてくれるものがあります。それはオイルミストエリミネーターというミスト除去フィルターです。これを真空ポンプの排気口に取り付けると音も静かになり、オイルミストはこの中でオイル液となり、真空ポンプ内に戻っていきます。通常は、排気口はそのままポンプ内に直結しており、オイルは装置内部に戻っていきます。したがって、ガスバラストを開けたとしても、オイルの減りが少なくなります。真空ポンプの寿命を伸ばすためには、やはりガスバラストを開けて運転することが推奨されます。ガスバラストを開けない場合は、凍結乾燥を5回くらい実施したらオイルを交換するくらいの心づもりでいて頂きたいと思います。
仕組みが真空ポンプによってことなりますので、詳しくはベンダーにお尋ねください。フィルターによってはオイル回収用のチューブをつけるものもあります。
【結論】
・凍結乾燥では、真空ポンプのガスバラストは開けて運転することが望ましいが、その場合には、オイルミストからオイルを回収できる高性能なオイルミストエリミネーターを排気口に取り付けて運転する。
・ガスバラストを閉めたまま真空ポンプを運転する場合は、オイル交換を早めに行う。
以上